ぼくを探しに/シェル・シルヴァスタイン著

yurara19862007-04-20

本棚の整理をしていると出てきた数冊の絵本。その中で一際印象的だったのが『The Missing Piece(ぼくを探しに)/シェル・シルヴァスタイン著』だった。同著では『Giving Tree"(りんごの木)』がとても有名だけど、私はこの本のほうが好きだ。『星の王子様/アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著』を読んだときに感じたのと同じように、大人が忘れた大切な気持ちを思い出させてくれる。絵は白黒でシンプルで、言葉も少ないけれどどこか懐かしい。
「ぼく」である欠けた球体は、ゆっくり転がりながら歌いながらその欠片を捜し求めます。そこで見つかるのは多種多様な欠片達。自分には大きすぎたり小さすぎたり、自分には合わない欠片達。しかし旅の果てで自分に合う欠片を見つけます。そして欠けた球体は、ほんとうに球になる。球になった「ぼく」は速く転がり続けます。けれど気づきます、欠けた球体だった時はゆっくりだけど蝶を見れたことを。歌を歌えたことを。そして「ぼく」は欠片を置き再びゆっくりと転がりだす。歌いだす。
人は自分に欠けたものを捜し求め生きている。けれど欠けている部分の発見が重要なのではなく、欠けていることの自覚が重要である、ということを示唆しているように思えました。
続編には『ビッグ・オーとの出会い』という欠片からの視点で、別の結末を迎える絵本も出ています。これもまた大人の童画。オススメ。

新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに